脳性麻痺と全介助の住まい

BARRIER FREE

全介助が必要な障がいを持つ家族のために・・・

全介助とは、日常生活のほとんどすべてに介助が必要な状態のこと。
バリアフリーというと、車椅子での利用とか手すりをつけることなどを想像しがちですが、
全介助が必要な状態となると話は違います。

障がいを持つ本人は、手すりも車椅子も自分では使えませんので、
手すりはかえってつけないほうが利用しやすいかもしれません。
全介助の住まいに求められるのは、自立支援型のサポートではなく、
介助する人を支援する住まいだと考えます。

ここでは、全介助が必要な障がいを持つ家族と、
楽しく暮らす住まいづくりの実例 を通して
全介助の住まいに求められるものは何かを考えてゆきたいと思います。

障害の特性に合わせた住宅設計のポイント

脳性麻痺(のうせいまひ)

受胎から生後4週までの間に何らかの原因で脳に障害を受けたために起こる障害です。
年齢とともに変化が見られます。言語、知覚障害、知的障害をあわせて引き起こすことがあります。

■ 症状

手足をうまく動かせないことが中心となります。

言葉や感覚、また知的な障害を合併することがあります。
両手をうまく使えない場合が多く、このために日常生活が大きく制限されます。

■ 状態ごとの特性

状   態

特   性

歩ける 不安定ながらも何とか歩いて生活ができる。歩くとき前後左右へのゆれが大きい
(杖や装具を使っているケースもある。)
車椅子をこげる┣ 乗り移れる

┃┣ 立ち上がれる
┃┃
ほとんど歩くことはできないが、
腰掛けた姿勢から立ち上がったり
車椅子をこぐことはできる。しかし、うまくこげずにかなり蛇行する。
ベッドや便器への乗り移りはできる。
┃┗ 立ち上がれない
腰掛けた姿勢からの立ち上がりができない
┗ 手伝いが必要 屋内の平らな面程度は車椅子をこげるが、
ベッドや便器への乗り降りにも介助が必要。
車椅子をこげない 日常生活のほとんどすべてに介助が必要な状態

出典:特定非営利活動法人 北九州市すこやか住宅推進協議会 『すこやか住宅 身体障害編/認知症編』